ゲームの海賊版対策で天才的な手法は？

こういったコピー版(いわゆる”割れ”)との戦いはゲームの裏歴史そのものでもありさまざまな伝説があります。

データ上でプロテクトを行う場合は、通常なら「プロテクトに引っかかると遊べない」が一般的ですが、一部には「ゲーム自体は普通に遊べるのにプロテクトに引っかかると通常出来るはずのことが出来なくなる」系のものがあります。

例えば「バットマン アーカムアサイラム」だと、コピーガードの部分で違反が検出されるとバットマンがマントを付けていても飛べなくなってそのまま墜落するとか、バットカーのタイヤが外れて事故るとかといった強いはずのバットマンがポンコツになるという楽しい対策がなされています。

優秀なのは MOTHER2 で、プロテクトに引っかかると大量の敵が湧き出し、そこをなんとか潜り抜けてもラスボスでフリーズする仕様になっています。しかもそのコピーガードチェック自体がゲーム内に大量に仕込まれているため、対策をしようにもそこまで手をかけるなら普通に買ったほうがマシというレベルとなっており、下手に遊べないよりも悉く心をへし折る方向に注力している分、違法プレイヤーの心境を考えるとコレが最も効果的なコピープロテクトに思えます。

他にも「一見すると普通なのに、致命的にゲームが進まない」系の対策は結構多くて、ドラクエ 5 のオープニングの船が港に着かないとか、ゼルダのチュートリアルで操作不能になるとか、こういった対策は一見すると特に問題が起きていないように見えるので、違法ダウンロードをしているプレイヤーが「ここ進めないんだけどどうすればいいの？」とか無邪気にネットで質問をして炙り出させる様が非常に痛快です。

一方で、プログラム上の対策ではなくアナログ部分での対策、いわゆる「マニュアルプロテクト」の場合は、正規版で購入すると付属するパッケージや説明書に重要な情報が書かれているといった手法が一般的です。

その中でも気合が入っているのは「ニノ国」という DS ソフトで、これにはマジックマスターという 300 ページにも及ぶ分厚い本が付属しています。

ゲームプレイヤーは、この本に書かれた呪文を入力することで魔法が使えるようになり、さらに暗号の解読表や、ダンジョン内のトラップ位置や、重要なヒントが全部この本に書かれており、ちゃんと購入してこのマジックマスターを手に入れていないとまともにゲームを遊べないのです。300 ページもあるとコピーするのも大変ですし、その対策をゲーム自体の個性に昇華しているなかなかに意欲的な作品だと思います。まあダウンロード販売ができないとか、本が嵩張るし保管が面倒だとか現代のプレイスタイルだとなかなか実現が難しいんですけどね。

さて、本当はもっと紹介したい天才的なコピーガード対策、検出時の絶望的なトラップはたくさんあるんですが、その中でも特に天才的だと思う海賊版対策はこちらです。

古きパソコンゲーム「怨霊戦記」です。

その驚愕の対策は以下の画面をご覧ください。

パッケージを購入した際に同梱される専用の「お札」があり、それを手元に置いておかないと呪われるという他に類を見ない対策となっています。

どんなプログラマにも対策不可能、お札をコピーしても無意味です。呪いなのでゲームを遊べない以上の災いが起きる可能性もあり、しかもメーカーがそれで罰せられる心配もありません。天才ですね。

なんて恐ろしい海賊版対策なんでしょうか。

デジタルプロテクトでもマニュアルプロテクトでもなく、いわばスピリチュアルプロテクトという恐らくこんな対策をしているのはこのゲームくらいでしょう。気分だけでザルとも言えますが、実際に呪われたことがないので僕にはその真偽は判断できません。

皆さんゲームはちゃんと買いましょうね。